真夜中の衝動

深夜0時。何やってるんだろう、私。疲れた。お腹すいた。明らかにオーバーワーク。駅からの家路を急ぐ。頭の中でリフレインするのは電車で読んでいた本のフレーズ。

井上由美子さんは、『GOOD!! LUCK』『白い巨搭』など高視聴率の取れる脚本家として信頼を得ているが、デビューは遅めの三十歳。大学卒業後ドラマ制作に憧れてテレ東に就職。だが配属されたのは営業事務だった。

「自分が本当にやりたい仕事をしてる人たちが間近にいる職場だけに、"どうして私はあそこに加われないんだろう"と不満が募った。異動願いも受理されず、このままではやりたい仕事につけないと、OL生活にピリオドを打ちました」

私もピリオド打ちたい。
でもお腹すいた。
家の近くまで来て、ぐずぐずしてると、タクシーがきた。気付くと手をあげてた。
「近くのファミレスまで」
この辺りに不馴れな運転手さんらしく反応が鈍い。
「どこでもいいから」語気を強めてもう一度伝える。「ど、どこがいいですかね」運転手さんしどろもどろ。八つ当たりして少しスッキリ。一緒にナビみて目的地をデニーズに設定。

ステーキがっつり食べました。
ふとBGMが耳に入る。

♪隣の芝が青ければ自分の庭に花を植えてね♪

もう少しだけ頑張るかな

ピリオドはリピートに変わっていた。