「ママクサ、何か本読んで」

テレワークでほぼ巣篭もりで過ごしていたのに、どこからかウィルスをもらってしまい、実は先週から10日ほど、家族と離れて、宿泊療養してる。
おかげさまで微熱と食欲不振くらいの軽症で済んでいるので、調子が良い時には映画を見たり、絵を描いたり、TVerで気になるドラマを一気見したり、ウェビナーをチェックしたりでのんびり過ごしてるので、ご心配なくね。
ただ、宿泊施設からは一歩も外出できないし、他の宿泊者とロビーやホールで会話するのも禁止なので、やっぱり退屈になる。
そんなある夜、息子からケータイに着信が。
「ママクサ、何か、本読んで」。
「アレクサ、YOASOBIの歌シャッフル再生して」とおんなじノリで、読み聞かせのリクエストが来た。
小説やエッセイは持ってきたけど、絵本は持ってきてなかったから、青空文庫で童話を探す。
ガリバー旅行記があった。
小人の王国に流れ着き、ガリバーの持ち物がなんでも巨大に見える小人たちと、食べ物でも寝床でもなんでも、大量に必要なガリバーの対比を楽しみながら、少しずつ違う世界の小人たちとガリバーが親交を深めていく様子を、たんたんと読み聞かせてやると、息子は満足そうに聞いている。
読み始めて20分もすると、スマホ画面の向こうからは静かな寝息が聞こえてきた。
「ママのせいで、大好きなサッカーもできないし、お友達とも会えないし、勉強はどんどん遅れちゃうし」
って、怒りや苛立ちをぶつけてきてもおかしくないのに、
「何よ、ママクサって!」と思わず突っ込みたくなるような、絶妙な頼み方で、甘えてきてくれる。
本能的に、人に甘えながらも、
人を元気づける言葉が選べるんだね。
静かな寝息を聞きながら、
「ママクサ、何か本読んで」のひと言で始まった幸せ時間を反芻していたのでした。

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