敗れざる者たち

東京FMからTwitterの番組告知で、沢木耕太郎さんの『敗れざる者たち』を紹介すると知り、ラジコにアクセス。これは、高校時代、現代文の先生が、あなたはぜひ読むべきと勧められた一冊だった。

番組を聞き終えて、改めて、どうして現代文の先生が、私に沢木耕太郎さんの『敗れざる者たち』を勧めてくれていたのか。意味を考えてみる。

一つには何かを書く事に、異常なまでに執着を示していた当時の私に、無駄のない、数十年経っても陳腐化しない、むしろいつまでも読む人の心に残り続ける文章はこういうもの、というロールモデルを示すため。

もう一つは、『敗れざる』というタイトルながら、勝負の世界では敗者とされている人たちを美しく描いている本作を通じて、私の書くエッセイや論文に共通するテーマ性を見出して、あなたの価値観はおかしくないよと、そっと励ましてくれていたのかも。

常識、主流、強者、成功に捉われない生き方、価値観は、社会にでると、邪魔っけになる。
でも、捨てたくないと思い続けてきた。

広告を売りなさい、というミッションなのに、私は、いつも、そっと裏テーマを設定して、読む人に笑顔、感動、発見を提供する企画を売るんだ、と頑張っている。それで、実際結果としては、出版不況と言われながらも、過去最高収益になってるんだから、いいじゃない?と開き直りながら。

でも、最近、そろそろ、諦めて、社会や会社の常識に従ってみようかなぁと思うときもあって。

そしたら、念押しのように、
作品が書かれて35年もたった今頃、再びこの本の話題にどうしてかひょっこり巡り合うことになった。

もしかしたら、社会や会社の方が多様性や利益だけでない価値を考え始めるようになってくるから、もうちょい、頑張れってことなのかなぁ。

次の企画は、近い未来、私たちの生活はどうなっているかを示す誌面を作りスポンサーを得る、というもの。

沢木耕太郎さんの作品を読み返して企画を練ってみよう〜。