国際ホームカミングデイ

高校のホームカミングデイ(同窓会)に行ってきた。
実は直前まで行くのをためらっていた。
最近読んだ本の中にこんなメッセージがあったから。

「私は過去を振り返りません。振り返っている余裕なんかないのです。
ただ、まっすぐ前に向かっていくだけです」

ビジネスの成功者としてカリスマ的存在のその人は、
成功の秘訣は過去を振り返らないこと、と説く。
そうか、同窓会なんてもってのほかだよね。
頭ではそう理解して、行くのを諦めようとしていた。

でも、昨日、大好きな高校時代の友人Kちゃんから
「明日、同窓会行く?」携帯メールが届いた。気づくと
「うん。予定空けてる」指が勝手に返信してた。

翌朝も、大好きな別の友人Hちゃんからメール。
「今日の同窓会、行く?Tちゃんと駅で待ち合わせしてるよ♪」
「私もKちゃんと同じ頃待ち合わせしてる。適当に合流しよう★」
無意識に返信してた。

なんだ。行きたいんじゃん。私。


井の頭線に揺られ、のんびりと駒場東大前に到着。
待ち合わせのKちゃんと再会すると、ほっとしてる自分がいた。

「あ!ここ!この踏み切り!いつもなかなか開かなかったよね」
「そうそう、急いでる朝に限って。踏切があくと学年問わずみんなで拍手したりして」
駒場野公園!この道路!体育の授業のとき走ったな〜」
黄色い落ち葉を踏みながら、通学途中の見慣れた風景を確認しては、はしゃいでいた。

ピンクの校舎。白い廊下。ホールまでの明るい太陽が差し込む吹き抜けの階段。

「ただいま」って言いたくなった。

Kちゃんは自分が今携わっているNGO活動の紹介を展示するコーナーに参加。今の仕事にたどり着くまでにいろいろ紆余曲折があったけれど、そのプロセスのどれもが自分には必要だった。社会で学ぶべきことを学べた。だからあなたもがんばれるはず。後輩ちゃんにキャリアカウンセリングもしてあげるKちゃん。励ましを聞いているうちに、自信なさげで不安げだった後輩ちゃんの表情がみるみるうちに明るくなってゆく。Kちゃん素敵★
私もとなりでそっと便乗させてもらって、最近できたての脚本やら番組CD、インタビューを受けた雑誌を置いてそっと近況報告。

そして今回の同窓会の目玉は、懐かしのN先生の特別授業。集まった卒業生は100人くらい。
テーマは『絶望かそれとも希望か:貧困の悪循環』。国際関係の授業。


となりの席に座ったHちゃんが筆記用具をスタンバイしだしたのに目を留める。
「うわ。消しゴム見たのめちゃひさしぶり」
「じゃーん!それだけじゃないよ」素敵なOLバッグのポケットからは15cmの物差しが。
気分はしっかり女子高生。


先生のコメント、メッセージからいくつか心に残ったものをひろっとこ。

・みなさんが国際高校に入った理由は、単に流行だとかカッコいいからというわけではないと思う。むしろその反対で、何かきっと熱い思いがあったからなんでしょう。ここが原点になっている人、たくさんいるんではないですか。今日同窓会に来た人の中には、たまたま暇だったという人もいるでしょうが、何かに躓いている人、振り返って自分を確認したい人もいるんだと思います。その期待にはこたえなきゃ、と思って授業しますよ。

・世界は少しずつ違ったルールで動いている。基本はそれぞれの違いを互いに認めあうこと。あなたが今日のゲームを通じて体験した、その気持ち、その態度は、異文化に触れたときのあなたの正直な反応です。戸惑う人、溶け込める人、自分のルールを押し付けようとする人。いろいろでしょう。あなたはどうでしたか?

・できるだけ今日初めて会った人どおしで座ってください。席を自由に移動して。そう。そうしたら同じグループになった仲間どおし、机に置かれた用紙を使って、順番に互いを褒める言葉をたくさん書いて回す。できるだけたくさん。書いた?完成した自分宛の寄せ書きを、読んでいってごらんなさい。ほとんど自分を知らない人から、自分の魅力をたくさん認めてもらって、伝えてもらったら、相当励まされるはず。それ、机の引き出しにそっとしまっておくことをお勧めします。時々眺めると、元気になるからね。


・開発援助、経済格差の是正、難民救済などを考えるにあたって一昔前は、「教育」が解決するという論理が支持されていた。しかし、教育を受けてもその後の働き口がなければ、そこでストップしてしまう。結局最近では、何よりもまず産業を興すことが他の先進国も巻き込みやすく、現実的だということになっている。
「お金だけがすべてじゃない。違う価値観もあると伝えたい」と反論する人もいるかもしれない。しかし、途上国の人たちに『自分たちは十分発展した、その結果、経済的に豊かになるだけでは本当の幸せは得られないとわかった。発展はほどほどに』と伝えても、恐らく通じない。何も始まっていかないでしょう。

・経済格差・地域紛争・環境問題・人権問題、まず解決しなければいけない問題はどれか?みなさんが選んだ価値観、そのどれも正解だと思うのです。信念を大切に。


冷たく突き放しているようで、あったかいN先生のコメントが好きなんだな。
結局、今日一日、自分の原点見直し、過去の振り返り、思いっきり楽しんでいた。
居心地の良い環境、仲間、自分の価値観は全てここにつまっていた。
同窓会は、一般ビジネス人には無駄かもしれないけれど。
私の人生には必要なのだろう。ぼやけていた目標がはっきりしてくるから。
私にとって同窓会にいく行為は、遠い昔溜め込んだ宝箱をそっと開けて感傷に浸ることではなく、
これから進むべき方向を定めた宝の地図を確認することと同じなんだろうな。

N先生、Kちゃん、Hちゃん、Tちゃん、久しぶりのみんな、ありがとうございました★

以下、欠席された方に。ご参考。

                                          • -

◆講義メモ◆
●問題1
次のそれぞれが何を表すか。その下の言葉と結びつけて。
・12億人・100万人・700万人・2000万人・1億2700万・11万人・8億5000万人・200万人・66億人・1700万人・12億人 

日本の人口・国境を超えて旅した人・日本で生活する外国人の数・世界の人口・海外で生活する日本人の数・海外に旅行に行った日本人・日本で学ぶ外国人留学生の数・日本に旅行した外国人の数・難民の数・肥満の人々の数

国際生なら答えられて当然でしょ。<ヒント> 数字が大きいのはどれだ? 比率的に、相対的に考えてみれば...。

ちっ ちっ ちっ (秒針の音) はいやめ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<正解>
日本の人口 1億2700万
国境を超えて旅した人 8億5000万人
日本で生活する外国人の数 200万人
世界の人口 66億人
海外で生活する日本人の数 100万人
飢餓で苦しむ人々の数 12億人
海外に旅行に行った日本人 1700万人
日本で学ぶ外国人留学生の数 11万人
日本に旅行した外国人の数 700万人
難民の数 2000万人
肥満の人々の数 12億人
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー<解説>
世界の人口、日本の人口、飢餓に苦しむ人など常識的な数字でまず考えて。
日本の人口がわかれば、海外での日本人、日本の中での外国人、留学生、もわかる。
世界の中で旅行する人もわかりやすい。注目すべきは、「12億人」。同じ数字が2つある。
世界人口のおよそ1/5になるものはどれとどれか?皮肉なことに
「飢餓で苦しむ人々の数」「肥満の人々の数」が、同じなんだ。


●問題2 次を並べ替えて貧困の悪循環を説明せよ

食糧不足 環境の破壊 飢餓の発生 貧困 人口の増加   難民の発生  過耕作過放牧 森林破壊 砂漠化<正解>
貧困→人口の増加→食糧不足→過耕作過放牧→森林破壊→砂漠化→環境の破壊→飢餓の発生→難民の発生 

貧しいと働き手が欲しくて子沢山になる。それだけ食料が必要になり、食糧不足が起きる。食料を手に入れるために耕作や放牧を限度を超えて進めてしまう。森林が破壊され、砂漠化、環境破壊が起きる。飢餓が起き、その国で生きていけない難民が生まれる。

                                          • -