道しるべ(2)

昨日渋谷で見た映画『ガーダ』は素晴らしかった。
作品そのものに加え、12年間、500時間を超えてカメラを回し続けた監督の古居みずえさんと、古居さんを通じて描かれるガーダという女性、ガーダを通じて出会っていくパレスチナ女性たちの生きる姿勢に深い感銘を受けた。逞しく、清清しく、夢を持って生き抜いていこうとするしなやかさ。
「周りの環境がどうであっても、私はこうしていきたいの」という信念・情熱がひしひしと伝わってくる。古居さんはOL環境から抜け出しフォトジャーナリストとして再出発している。ガーダはパレスチナ古来の結婚に関する慣習を壊した。子育ての傍ら、パレスチナの暮らしや戦争体験を本にして残そうと聞き語りの旅を始めている。パレスチナ女性たちは戦火の耐えない状況であっても、子どもを守り、食事を作り、歌い、踊り続けている。


私も動かなきゃ。気づくと作品を見ながら、頭の中では、これから何を書いていくか、何を伝えていくかという構想がくるくると回り始めていた。


LINK:★ガーダ公式Webサイト★


向田邦子の恋文 [DVD]
帰りがけ、ふと、世の中にはいったいどれだけの映像作品があるのかなと思い、TSUTAYAに立ち寄った。
目に留まったのは、TBSで以前放映されたドラマ「向田邦子の恋文」。山口智子演じる向田邦子は天真爛漫で凛としていて、美しくて。まるで本人を見た気がしたと大絶賛のドラマだったらしい。
残念ながら放映当時は見る機会を逸し、その後再放送を待ってもその甲斐なく、いつか見たい、見たいと思っていたものだったから嬉しかった。


30代前半の頃、放送作家として毎日寝る間もないくらいに忙しかった彼女を支えていた恋人がいた。別居中とはいえ妻子ある人との恋。それは、家族にも友人にも打ち明けず彼女自身の胸の奥にずっとしまい続けていた秘め事だった。妹の和子さんが彼女の秘め事を知ったのは、台湾の航空機事故で彼女が亡くなって20数年経った後だった。彼女が残した遺品の中でこれまで開くことのなかなかできなかった茶封筒があった。中にはたくさんの恋文と日記が入っていた。ドラマはその恋文と日記をもとに和子さんが彼女と過ごした日々を回想していく形で描かれている。「やっぱり向田邦子さんは素敵な人だ」と、見ていてため息が出た。演出は久世光彦さん、音楽は小林亜星さん、恋人のお母さん役は樹木希林さん。みんな向田邦子さんが大好きだった人たちだ。*1


一生懸命な女性って素晴らしい★


LINK:★TBSの公式Webサイト『向田邦子の恋文』★  

*1:久世さんは向田さんとのコンビをずっと続けてきた大ベテラン。小林亜星さん、樹木希林さんは向田作品のひとつ寺内貫太郎一家で、貫太郎役、貫太郎の母役だった。