ハイヒール


先週、ハイヒールを買った。7cmもヒールがあるのを。
転びそうになって危ないし、歩くスピードも遅くなるし、足も痛くなるし、
いいことなんてなさそうと思って、最近ほとんど買うのも履くのもやめていたのだけれど。


買う決心がついたのは、なぜだかわからないのだけれど、何だか最近
夏木マリさんがエッセイの中で言っていた言葉が繰り返し浮かんできたから。


彼女は言う。


「女性も時々ヒールをはかないとダメ。いつもぺったんこの靴だと、気持ちもぺったんこになる」




気持ちがぺったんこ。


なんだか最近ぺったんこな気がした。変えようと思った。


近くのデパートのシューズショップで、店員さんと1時間くらい話してたかな。
シンデレラのガラスの靴のようにドキドキ自分の足にあうか、確かめながら。
やっとの思いで決めて、買ってみたのだった。


そんなわけで。


今日はヒールデビューの日。



でもね。

やっぱり。

痛かったよう。

転びそうだったよう。

歩くの遅くていらいらしたよう。



歩くの早い男の先輩たちと、たくさん、たくさん歩いた。
ランチの時も、昼のアポイントの時も。


道のりがいつもの数十倍の距離に感じた。


歩くたびに、王子様に会うために声と魚の尾を失った人魚姫の気分だった。


この痛さ、不安定感、不快感、は何のため?


ぺったんこの気持ち直したかったけど、さらにへこんだ気がした。


慣れるのにはまだもう少し時間かかりそう。


ゆっくり、ゆっくりね。
確かに少し背の高くなった自分は、背筋をぴんとして、
モデルのようにまっすぐ歩けば、
エレガントに変身して見えているのかも。。。

ちょっとだけ、周りの人たちがいつもより優しく接してくれている気がしたし。


もうちょっぴりだけ、がんばってみようかな。