インドネシアの影絵

 

インドネシアの影絵を見に行ってきたよ。
インドネシアの影絵はワヤン・クリと呼ばれていて、
ワヤンは影、クリは皮を指すそう。
水牛の皮と角で作られた人形をダランと呼ばれる人形遣い師が操って上演する。


ダランの人は人形を操る一方でそれぞれの役の声もこなして、
音楽を指示してと一人で何役もこなすから大忙し。


見に行ったのは京王線八幡山にあるワヤン協会の方が主催する上演会。
といっても、マンションの1室が舞台になっていて、おこたにあったまりながら
眺めるというアットホームなもの。


 


この日見たのはムルォコロという物語。
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昔々、乗用獣(乗用車じゃなくって、獣なのね)に乗り、神様が奥さんと二人で海を渡って旅をしていた。日が沈みかけた頃、黄金色に輝く夕日とその光に照らされる奥さんがあまりに美しかったので、獣の上とはいえ、奥さんに欲情を覚えてしまう。
獣の上には精液が残され、それは大海に落ち、ぐんぐんおっきくなって、神様の子どもになる。やがて彼は自分が神の子だと知り、天界にやってくる。
そのとき、神様に人を食べたい、とお願いし、神様はうっかり許可を与えてしまう。
あわてた神様たちは彼の人食いを阻止しようと奔走。結果、彼は人を食べようとするけれどそれらはみんな神様の化身で食べることができない。人を食べたいという気持ちは満たされないまま、彼は永遠の空腹を抱えて翻弄され続けてしまう.....

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なんとも不思議なお話だけれど、物語の端々に人の善と悪、人の弱さと強さ、美しさと醜さなんかが織り交ぜられていて気づくと影絵の世界の中にどっぷりとつかってたって感じ。

幻想的で美しくって、ため息出ちゃった。



影絵で見るのも美しかったけど、実際の人形も丁寧に色が塗られていて、しかも影になったとき、きちんと人の姿になるように、ほんとに細かに細かに皮が彫られていて、びっくりした。

伝統技術と芸術の素晴らしさを満喫した一夜でした★