タイのテロとイスラム教


年末起きたタイ、バンコクでの同時爆弾テロについて。原因はまだ不明。タイ南部のイスラム教徒が多く住む地域では爆破や銃撃事件が起きているものの、中心部での大きなテロはここ数年なく、最近クーデターで政権を勝ち取った新政府、軍にとっては大きな痛手となった。


このニュースを先日番組で取り上げたとき、インドネシアのEさんからのコメントが、聞いてから数日経った今でもずっと心にひっかかっている。

「いつも気になっていることがあるのだけれど」相当勇気を出して発言してくれたのだろう、話し出すEさんの声は震えていた。


「テロや事件があったとき、いつもイスラム教徒が関わっているのではないかと疑われるのをとても残念に思います。イスラム教を信じる私にはとても悲しいことだと感じます」

聞いた瞬間、私自身もEさんを傷つける発言をしていたのだと気づいた。


Eさんの発言の少し前、あまり考えもしないまま、このニュースを紹介してくれたタイのSさんに「今回の事件、南部のイスラム過激派が関与している可能性はあるのでしょうか」と聞いてしまったのだ。せめてもの救いは、Sさんがきちんと否定してくれたこと。
「まだ原因がわからない段階で断定はしない方がいいと思います。もともとイスラムとは”平和”という意味。僕自身タイの南部で育ったし、僕の知るイスラム教徒の人は皆優しかった。本当のイスラム教の人なら、テロなんて絶対にしない」


私だって日本のニュースで殺人事件が起きたとき、「中国人●●氏が関与している可能性を捜査しています」などと中国人全てが悪いかのように国籍を枕詞に解説されることを不愉快に思う。似た気持ちを共有していながら、自分がやってほしくないと感じることを無意識でEさんにしてしまったことを恥ずかしく思った。

ごめんなさい、Eさん。


収録の帰り道、Eさんと二人でお夕飯を食べに行った。タイ料理屋さん。生春巻き、キャベツのピリ辛サラダ、トムヤンクンスープのラーメンを頼んだ。「チャーシューは別の皿にお願いします」Eさんがお店の人に頼んだ。
「rikaさんは、チャーシュー*1入れて食べてね」
自分に無理せず、他人を気遣ってくれるEさん。


Eさんに対して申し訳なかったと思うと同時に、彼女のような強さとしなやかさを持ちたいなと思った。

*1:イスラム教では豚肉を食べない