レッスンの成果


昨日英語レッスンで "Save the grace for someone else." っていう表現を教えてもらった。

雰囲気のよいバーか何かであなたが一人でお酒を飲んでいたら、横からちょっと軟派な男性がやってきてあなたに話しかけてきた。例えば「いやぁあなたみたいに綺麗な人、見たことない」みたいな感じで。そんな時、相手を傷つけず、エレガントにお断りするのが
"Thank you so much, but save the grace for someone else.
(嬉しいわありがとう。でもその褒め言葉は別な人にとっておいてあげて)"なんだそう。

よし機会があればぜひ使おう!と心に決めた、その翌日の今日。早速そんな場面に遭遇した。


自由が丘の中華レストランで、私は一人でのんびり北京ダックと海老マヨネーズをお夕飯に食べていた。
すぐ隣ではパックンに似た外人さんが、自分のテーブルの横に立って携帯で何やら忙しそうに話している。”OK, all right. See you later(ん、じゃまたあとで)”みたいな感じだったかな。パックンは電話越しの相手と話しをクロージングしつつ、こっちを見ると、「食事中、うるさくしてごめんね」、という感じで目で謝り、電話を切って、席に着いた。
私は「いえ別にかまいません」と首を横に振ってとりあえず微笑んどいた。


パックンの夕飯は唐揚げと白いご飯だったみたい。用事が済んだので、隣でおとなしく食べ始めた。

しばし互いに沈黙。しばらくして私は北京ダックのタレだけ足りなくなったので、店員さんにタレだけおかわりをお願いした。やがてお皿はすっかりきれいになり、おいしく食べ終わった。ちょっと休憩。そのうち急に、素敵な話になりそうなストーリーが浮かんできたので、空いた食器を机の隅のほうに押しやって、スケジュール帳に急いで書き留めはじめた。

超集中モード。


でもそのうちパックンが時々話しかけたそうに私の横をちらりちらりとアイビームを送ってくるのが気になりだした。何か話しかけてあげるべきなんだろうか。


私はそれでもやっぱり浮かんできたストーリーを忘れたくなかったので、次々ページをめくりながらひたすらメモをとり続けてた。すまんねパックン。


パックンは食べ終わってすることがなくなったみたいで、やがて残念そうに席を立った。でも、最後のチャンスと思ったのか、去り際ふいに
"I'm sorry to interrupt you, but ... Do you speak English?(おとりこみ中ごめんなさい、でも、あの、あなたは、英語できますか?)"と話しかけてきた。ちょい沈黙。う〜ん。英語レッスン中だからねぇ。。うそつくこともないしねぇ。とちょっと考え、
”Ah Yes a little bit..(えっ、あ、まぁ)”と答えるが早いか、パックンの目はとたんに輝きだし、背負おうとしていたリュック型のビジネス鞄をおろすと、再び私の横にちょこんと座りなおしてしまった。


う〜ん。何かが始まる。。。。。


パックン ”I'm sorry about earlier..but that's business.."
(さっきもごめんなさい、仕事だったんで)

私 "No problem, it doesn' matter. I understand you."
(気にしないでください。構いません)

パックン ”But seems like you are busy.."
(それにしても急がしそう。。。)

私 "Ah, I've just got a story outline and didn't want to forget.so.."
(あ、いえ、ちょうどちょっとあるお話を思いついて、忘れたくなかったんで....)

パックン "What's the story about?”
(へえ物語ってどんな?)

私 "It's like a story related with X'mas or something like that"
(クリスマスに関連したお話、みたいな感じかな)

パックン "Wow, Are you a editor or something?"
(編集者か何かなの?)

私 "No, but I like writing.."
(いえ、ただ好きなんです書くのが)

パックン "Again sorry to interrupt you but you look so-- cute. Please continure. I'm Chris. English teacher. Nice to meet you.”
(そっか。ごめんなさい、じゃまして。でもすごくキュートだったから我慢できなくて。どうぞ続けてください。僕はクリス。英語の先生してます。お会いできてよかった)

私 "Ah-tank you. I am happy to hear that. I am Rika. Nice to meet you,too Chris."
(あ、ありがとうございます。キュートなんてありがとうございます。私はリカです。私もお話できてよかったです、クリスさん。)


パックンはクリスという名前だった。




あれ?せっかく習ったエレガントなお断りは??




フレーズを使おうと口を開こうとした頃には、クリスは満足げな微笑を浮かべ、去っていた。