心奪われる瞬間



空を見上げたら、どこまでもどこまでも青い空と、
まぶしいほどにきらきらと輝いている銀杏の木。
自然が織り成すコントラストは、泣きそうなくらいに美しく、
しばらく目を離すことができなかった。


ねえ、空や木々たちがこんなに素晴らしい美しさを見せているのに、
そしてその姿は永遠ではなく、次第に消えていってしまうものなのに、
私はこのまま立ち去ってしまうというの?


美しさの誘惑に勝てず、私はそこから時間を止めてしまった。
いつまでもいつまでも。銀杏と空のあいだで、
この瞬間がずっとつづけばいいのにと願い続けながら。