ショーンKさんの思い

 J-waveMAKE IT 21のパーソナリティなどでも活躍中のショーンさんの「英語セミナー」に行ってきた。ショーンさんのことは、実は以前別のイベントで司会をしているときにお見かけしていた。聞き心地よく、わかりやすい話の進め方が印象的だったから、密かに「いつかもっと間近で話してみたい人リスト」に挙げてた方の一人だったんだ。だからこの英語セミナーを企画してる友人から「席がちょっと空いたから覗きにこない?」って誘われた時も、「行く行く〜」と二つ返事でOKした。


セミナーの内容は、留学1年分の英語を3ヶ月でマスターする方法をショーンさんの講演を通じて学ぶというもの。NY生まれのショーンさんは日本語、英語の他、フランス語が話せて、最近は中国語にもチャレンジ中らしいのだけれど、彼の伝授してくれた英語のマスターの仕方は、かなりマッスルトレーニング。まず英語の論理の特徴、言語自身の性質などを知った上で、ディクテーションやシャドウイングに似た脳が結構ストレスを感じる練習を積み上げてく。具体的には「山」とか「電話」といった簡単な言葉の定義を短い英語で説明できるようにしたり、バイリンガル表記をしているテキストの日本語だけを読んでスムーズに英訳ができるまで繰り返す、など。実際少しやってみたけど、かなりヘビー。やはり努力は大事なのね。。。。


一番心に残ったのは語学習得に関するYes/Noチェックでのコメント。
講義の中盤でショーンさんは英語を学ぶ日本の人にNoと答えてほしい、”語学に対する誤解”を列挙していった。


「英語はネイティブに学ぶのが一番いい」
「自分は聞くのはまあ自信があるけれど話すのは苦手」
「lとrの違いが気になってしょうがない」....


これらについては
「単語のニュアンスをつかむには、実はネイティブよりも正確なバイリンガルに聞いたほうが早い」
「認知学では話す・聞くは相関していて聞ける量だけ話せると言われてる。トレーニング次第なのが事実」
「lとrを気にするより大事なことは相手と話が通じること」
っていうのがショーンさんなりの正解。


その中に「帰国子女はうらやましい」というのがあった。これもやはりショーンさんとしてはNoと答えてほしいそうなのだけど、その理由付けのメッセージは、聞いた後、そして講演後数週間たった今も、ずっと忘れられない。


「海外帰国子女はうらやましいという人に、本当に彼・彼女らのことを知っててそういっているのかと僕は問いたい。彼らは実は、結構悩んで、苦労している。木村拓也工藤静香も娘をインターナショナルスクールに入れたみたいだが、ちょっと心配。僕の知人で、やはり両親がバイリンガルに育てたくて日本のアメリカンスクールに入れられた男の子がいた。顔は日本人だが、心と生活習慣はまるっきりアメリカ人になった彼は、アメリカの大学に進み、卒業後は国連に勤めた。でも顔は日本人。違和感を覚え、やがて日本にもどってきた。日本の企業に勤めたが、考え方はアメリカ人。それでやっぱり日本の組織にも合わなかった。その後、どこにも行き場を見出せなくなった彼は誰にも関与されない海の上のヨットの中で生活しだすようになる。不幸なことに、結局彼の選んだ選択は、自殺だった。帰国子女の全てが彼のようだと思う必要はないけれど、うらやましいと思う前に、彼らのことをよく知ってほしい」


ショーンさん自身も帰国子女。だから、自殺してしまった彼のことを、ずっと気に留めていたし、彼と気持ちを同じくするところもたくさんあるのだろう。英語のトレーニングとは少しちがった話だけれど、きっと会場内の日本の人たちにどうしても伝えたいことだったんだと思う。ショーンさん自身の人柄が垣間見れる瞬間だった。


講義が終わった後、なにかあればメールをくれれば、できるかぎり答えるから、と受講者にメールアドレスを教えてくれた。時間がたってしまったけれど、昨日、やっと仕事も落ち着いたのでお礼のメールをしてみた。返事来るかな。同じラジオパーソナリティをしてる同業者として、文化が交錯する環境に育ったものとして、いつか個人的にお話できればうれしいな。