蝉の声、螢の光

糞土に生ずるうじ虫は きわめて汚いものではあるが、後に変じて蝉になり、白露を飲みつつ秋風によい声で吟ずるようになる。また、腐草はもともと光がないが、後に化して螢になり、夏の夜に美しい光彩を輝かすようになる。これによっても、なるほど、清いものは常に汚れたものの中から生まれでるし、光輝くものは常に暗やみの中から生まれ出るということがわかる。
菜根譚 ニ四