ミッション

無国籍

陳天璽という人の『無国籍』という本を読んでいる。
私と同じ台湾系在日華僑の女性が書いた自分史。


彼女と、私、となりあうジグソーパズルのパーツどうしのように、性質そのものは似ていながら、互いに欠けた経験を補いあうような人生の選択をしている。


彼女は横浜中華街に生まれ
私は東京の多摩地域に生まれた


彼女はインターナショナルな幼稚園に通い、
私は日本の保育園に通った


彼女は台湾系中華学院に通い、
私は日本の公立小中学校に通った


彼女は日本人がほとんどの県立高校に通い、
私は帰国子女と外国人が多い都立高校に通った


彼女は筑波大の国際関係学類に進み、
私は慶応大の総合政策学部に進んだ


彼女は就職活動をあきらめ研究者としての道を目指し
海外を舞台に活躍している。
私はいつか留学したい、海外を拠点に活動したいと思いながら、
古い体質の日本企業に就職し、日々いっぱいいっぱい。


「もしも、中華学校に通ってたら?研究者になっていたら?」
私の迷いながらも選択しなかったもう一つの道を、彼女がそっくりそのまま経験しているような感覚。


少しずつ異なる選択をしながら、その過程で感じてきたこと、経験してきたことには
共通点が多い。私は何者?国籍って?アイデンティティって?マイノリティって?


彼女はいまだに自分探しを諦めないで続けている。私はそれに戸惑いを覚える。
自分の研究に夢中にになりすぎて世の中と関わることをやめては本末転倒ではないか。

社会人になって一人暮らしを始めてからは特に、自分探しより日本社会に馴染むこと、自分の才能を発揮することのほうが重要だと考えるようになっていた。


それでも。結局気づくと、アジアの番組の仕事、台湾の絵本作家ジミー作品との出会い、台湾の故郷訪問、.....と、自分と向き合う機会が次々とやってきて、自分のミッションを考える方向へゆり戻されてしまう。


やっぱり、ここらでかたをつけとこ。近い将来、私は日本と中国と台湾の狭間に生きてきて感じてきたこと、経験してきたことをまとめます。恐らく陳天璽さんにもインタビューすることになるんじゃないかな。そのプロセスとアウトプットに私の好きな文学や芸術の世界をうまく融合できたら素晴らしい。